頑丈さが”売り”のペリカンケースですが、意外な部分が壊れて困ってしまうことがあります。そのひとつがラッチ部分の破損です。
ラッチ(Latch)とは、掛け金(留め具)のことで、開閉の蝶番にあたります。この部分がケース本体と同じく樹脂で出来ている関係から開閉を繰り返すと壊れてしまうことが稀にあります。
私が仕事カバンとして愛用しているペリカンケース 1490においてもラッチ部分が割れてしまい、蓋が閉まらなくなりました。
何気なくいつものように開閉していたら、力がスカっと抜けるように、ごく自然に割れて分離してしまったラッチ部分。
もともとラッチ部分は柔軟性のあるケース本体と同じ樹脂素材から出来ていることもあって、度重なる負荷に耐えかねた様子でした。
ペリカン1490ケースに用いられているラッチは、1490と1470にのみ採用されている品番「1476-970-110」という、幅が約3.8cmの鍵付きラッチ。
※ラッチの種類については下記の別記事をご参照ください。
使われているラッチの品番さえ分かれば、あとはネット通販を探すだけです。なぜなら、私のペリカン1490ケースは米国で購入したもので、日本の正規代理店から購入していない為に、代理店を通じた修理依頼ができない為です。
ペリカンケースの内外価格差には少々思うところもありますが、日本国内での保証にあたっては、日本国内の正規代理店を通じて購入したものに限りペリカンプロダクツ社の条件付き永久保証を受けることができますので、そうした保証込みと考えると仕方のない価格設定なのかもしれません。
とまれ、米国購入のため日本国内での保証を受けられない私のペリカン1490ケースですが、ペリカンケースの各種パーツは海外ネット通販で売られているのをよく目にしていましたので、個人輸入で簡単に入手できるだろう、と様々なサイトを探してみました。
・・・ところが、ここで大きく壁にブチ当たります。上記画像にある米国Amazon.comを始め、欧州地区の通販サイト等を探しても、パーツの販売自体はされているものの、なぜか揃いも揃って日本への販売(輸送)はしてくれないのです。
仕方がなく米国のネットオークションeBayで日本まで送ってくれる出品者を探すも、そもそも当該ラッチは前述のようにペリカン1490ケースと1470ケースにのみに使われているニッチなパーツであるため、出品者が少ないことや、日本への発送をしてくれる出品者を見つけても、送料が5,000円程掛かり、合計・約8,000円なんて計算になったりします・・・
米国ペリカンプロダクツ社に何度か英語でメールを送るも、拙い英語でスパムと思われたのか、悉く無視され結局ノーリプライでした(苦笑)。
こうなったら最後の手段。3Dプリンター用の3D CADデータを公開しているサイトには、ペリカンケースのパーツデータを自作して配布している人もいるため、そうしたデータを拾ってきて、街中のデジタル系工房にある3Dプリンターで出力しようと考えます。様々なサイト上を探してみたのですが(メジャーなペリカン1510ケースとかなら見つかりますが)、1490ケース用のラッチは見つからず。
・・・もう詰んだ。。。と諦めかけた時に、とある筋から譲っていただける事になり、事なきを得ました。こんなに苦労するのなら、そもそも国内正規代理店から購入した方が、よっぽど割安ですね・・・。
交換するため、まずは壊れたラッチを取り外す必要があります。上記画像は既に外した状態になっていますが、ちょうど矢印のあたりにラッチを固定するピンの頭が見える場所が確認できます。
そこを細いドライバー等を押し当てながらゴムハンマーで少しずつ(だけど結構強めに押し出すように)突いてやると、ピンが徐々に抜けてラッチを取り外すことが出来ます。
ピンは片方にネジが切られています。私のペリカン1490ケースでは、前述のピンで突いた側にネジ側が来ていました。
左が今回交換したラッチ、右が元々のラッチです。見てお分かりのように、仕様が異なります。まず、右側の元々のラッチは表面をラバーで覆われているのに対し、交換した左側ラッチの表面は全て樹脂のままです。
これは私のペリカン1490ケースが古い仕様のためで、私は1490ケースを2つ持っており、そのうち1つは数年前に購入したものですが、最近の仕様では交換したラッチと同じ仕様でした。
因みに、私の持つ2つのペリカン1490ケースですが、上記写真の左側が新しい仕様、右側が今回修理することとなった古い仕様です。
ラッチ形状のみならず、表面の梨地加工の具合もかなり異なり、新しい方はその表面が「いかにも射出成型」と言わんがばかりの模様をしています。
修理完了した私のペリカン1490ケース。古いケースなので色々とガタも来ています(防水シールが劣化して防水性は既に損なわれています)が、梨地の表面加工やグレーのロゴマーク(いまの仕様ではロゴマークもカラーになっています)も気に入っており、末長く愛用できそうです。
・・・と、末長く日本国内で使うのであれば、やはり保証が効く国内正規品が良さそうですね。前述のように防水性も既に損なわれていますので、そうした一式を含めて修理に出せるメリットを考えると尚更です。〔了〕