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    ハードケースで一眼レフカメラの消音ケースを作ってみた

    ペリカンケース擬きなハードケースを用いて、一眼レフカメラの消音ケースを作ってみました。
     

     
    ハードケースをくり抜いて消音ケースをDIYで作る元ネタは、米国の写真家Dan Tabar(ダン・タバール)氏によるもの。彼はペリカンケースを活用して消音ケースを作っています。
     

    DIY sound blimp assembly.

    https://www.dantabar.com/diy-sound-blimp-assembly/


    私も彼の消音ケースを参考に一眼レフカメラのシャッター音を軽減する消音ケース(サイレンサー)のDIY製作を試みました。
     
    結論から言うとシャッター音は「ほぼ無音」になり大成功。
     
    私の作成したケースはこんな感じです↓

    ピアノ発表会にて活躍した消音ケース
    背面液晶からライブビュー撮影を行います

    用いたのは、
    ペリカンケースでは無く、
    ホームセンターで売られている「ペリカンケースもどき」なLIXELビバ「プロテクティブ・ハードケース 小」。
     
    なぜコレにしたかと言うと、我が家に転がっていた事、ペリカンケースよりも「丈夫で無い」こと、そして価格的にも4,000円程と安価な事です。
     

    ちょうど私のEOS 7D2が入る大きさ

    ペリカンケースよりも丈夫じゃ無い、というのはどういう事かと言うと、以前にペリカンケースに穴を空けたり切ったりした際、ペリカンケースは硬くて切り難い事や、ボロボロと繊維状に切れた破片が出て難儀だった経験がある為です。
     
    その点、このプロテクティブ・ハードケースは、其れなりに丈夫さと弾力性のある素材なので切るのも大変ですが、ペリカンケース程では無い、という些か逆説的ではありますが、そういった利点があります。
     
    また、ちょうど私の持つ一眼レフカメラを入れるのに良いサイズだったからでもあります。
     

    ※消音ケースを作る動機
    消音ケースを作る動機となったのは、長女の音楽発表会。せっかく受賞もした良い演奏だったのに、ビデオカメラの音声トラックには私のカメラシャッター音が耳障りに常に入っており自らのミスに心底ガッカリしました。
     
    愛機はCanon EOS 7D Mark2という一眼レフカメラ。シャッターの「静音モード」も計4つのモードが搭載されている列記とした上位機です(シャッター音の大きさからー、ファインダー撮影による「通常シャッター」> ファインダー撮影による「静音連続撮影」モード> ファインダー撮影による「静音1枚撮影」モード > ライブビューによる「LV静音撮影モード1」 > ライブビューによる「LV静音連続モード2」という順)。
     
    ですが、それでもシャッター音が煩い。前述の発表会では1,500名を収容できるホールで24席も離れた位置にビデオカメラを置いて(ビデオカメラにはハンディレコーダーのZOOM H1を外部マイクとして)撮影し「静音1枚撮影」モードで撮影してバッチリと音が入ってしまっていたのだから最悪・・・

    製作過程は冒頭に紹介した、
    写真家Dan Tabar(ダン・タバール)氏に倣って
    使用するカメラの原寸大をプリントアウトし、
    切り抜くところから始めます。

    一眼レフカメラの消音ケースを作ってみた
    原寸大にプリントアウト

    使ったケースはLIXELビバで売っている「プロテクティブ・ハードケース 小」(外寸330 x 280 x 120、内寸300 x 220 x 101)。ケース自体は税別3,980円でけっこう前に購入しました(現在も同価格かは不明)。

    同ケースには標準でブロック状に切る事のできるスポンジが入っていたのですが捨ててしまったので買い直すハメに。購入したのはETSUMI製ウレタンフォーム・ブロック型60mm (E-6591)。1,200〜1,300円程。

    ウレタンフォームを少しキツめに詰めてみた

    スポンジを詰めたところ。ケースサイズより1ブロック分大きめにカットしてケースに詰め込む。
     

    カメラの大きさにあわせくりぬく

    上記画像のような感じでスポンジをくり抜いて行きます。
     
    次にマウント口径部分をくり抜くため、ドリルで穴あけ。
     

    一眼レフのシャッター音を消す消音ケースを作成
    ドリルで少しずつ穴をあけていきます

    マウント口径そのものは、あくまでカメラ装着時の接合部分の口径ですが、実際にはレンズ筐体の大きさが加って来ますので、使用を想定しているレンズの大きさ(レンズ本体の外径)に合わせてヤスリで調整が必要となります。
     

    一眼レフカメラのシャッター音を消すための消音ケースを作成
    ヤスリでゴリゴリ・・・
    一眼レフカメラのシャッター音を消すための消音ケースを作成
    背面液晶を見えるように穴あけ

    背面にも穴あけ。類似の消音ケースを作られている方の事例を見ると、ファインダー部分にも穴を開けていますが、私の場合、メガネを掛けての撮影となるため、ケース越しでは視野率が狭まってしまう関係からファインダー側は諦めて、ライブビュー用の窓だけ開ける事に。
     
    そもそもライブビュー撮影が性に合わないから、一眼レフカメラを用いているのですが、静音シャッターはライブビュー時に使える「LV静音撮影モード」の方が静かな為、ライブビュー撮影で使う事にしました。

    (・・・こう言うと「じゃあ(電子シャッターで完全無音にできる)ミラーレス機を使えば良いじゃん」と指摘されそうですが、キヤノンでEFレンズ資産を活用できるミラーレス機は、まだまだ限られており、購入を決意できるような決定打がありませんからね・・・執筆した2020年1月当時)。

    キヤノンEOS一眼レフカメラのシャッター音を消すための消音ケースをDIY作成
    100円ショップのフォトフレームから流用

    背面には透明アクリル板を貼り付け。これは100円ショップで売っているフォトフレームから流用しました。ちょうど背面液晶の大きさにマッチしてますね。
     

    キヤノンEOS一眼レフカメラのシャッター音を消すための消音ケースをDIY作成
    カメラとレンズを装着した状態

    カメラを装着したところ。スポンジをキツめに入れているので押し込むような感じです。当然、シャッターが押せなくなりますので、ワイヤレスレリーズを装着。

    キヤノンEOS一眼レフカメラのシャッター音を消すための消音ケースをDIY作成
    ワイヤレスでシャッターを切ります

    用いたのはYONGNUO製「RF603C II」という4,000円弱の安価なワイヤレスレリーズ。中華モンですが、問題無くしっかり使えます。
     

    キヤノンEOS一眼レフカメラのシャッター音を消すための消音ケースをDIY作成
    なんだか奇妙な面持ちですがw

    全体像はこのような形状となる為、構え難くなる事から私は三脚設置にしています。
     
    元ネタとして参考にした写真家Dan Tabar氏の消音ケースでは、レンズ鏡筒部分まで塩ビパイプで覆って消音性を完璧なものにしていますが、私の装着したい望遠レンズ(SIGMA 70-200mm f2.8)では、ちょうどレンズの付け根付近に三脚用の台座が来る関係から、塩ビパイプで覆う事が出来ず、私はレンズ部分には何も施していません。
     
    三脚用の台座をケース側に装着する事も検討したのですが、前後バランス比も悪くなるので敢えてそうした試みはせずにレンズ側の三脚用台座を使う事にし、故にレンジ部分までは覆う事が出来ない状態です。
     
    しかし、結果として、レンズまで覆わずともシャッター音は十分満足の行くレベルにまで消音できたので満足しています。
     

    ビデオカメラ用の油圧式雲台

    最後にもう一工夫。
     
    暗い発表会場のステージ撮影では三脚や一脚の活用がブレ防止の観点から不可欠ですが、今回は三脚に油圧式2way雲台を購入し装着しました。
     
    アーム部分を右手で握りカメラの方向を定め、左手はワイヤレスでシャッターを切る。なかなか使い勝手よかったです。

    ※私が買ったのはCHIHEISENN という中華メーカーの雲台。「CHIHEISENN」がどういう会社なのかよく分かりませんが、激安な三脚とかを作っているようで、最近ネットでよく同社のミニ三脚などを見かけます。「CHIHEISENN」って「地平線」(?)の事なんでしょうかね?よく分かりませんが。
     
    油圧式雲台に載せる事で、さながらテレビ局のスタジオカメラマンの如く、一眼レフカメラの背面液晶を見ながら雲台からのびるアームでカメラを上下左右に動かして撮影していきます(あとはインカムを首かけで装着すれば、まんまテレビ局な感じですね)。

    総括します。結果的に大成功でした。シャッター音は完全に消えないまでも、4席分ほど離れた横に設置のマイクにシャッター音は全く入っておらず、これで音楽発表会でも気兼ねなく一眼レフで写真撮影ができます。
     
    一方で反省点(今後への改善点)としては、やはり三脚設置の据え置きで画角が単調化する事。従来は一脚と併せて最後尾席(の更に後ろの通路)から左右に移動しつつ様々な画角で撮っていましたが、そうしたフレキシブルな撮影はできません。
     
    また、これはEOS 7D Mark2側の問題なのですが、ライブビュー撮影ではAFのポイントが大きな枠になってしまい、ファインダー撮影のように細かい1点にだけピントを集中させた撮影というのは難しくなります。
     
    例えばピアノ発表会では奏者がステージに対し横向きになるので、顔にピントを合焦させたつもりでもピント枠が大きいため肩まで入ってしまい、あとで拡大表示してみると顔では無く肩に合焦していたり、ピアノ連弾では2人が並んで弾く訳ですが、奥側の奏者に合焦したつもりが手前の奏者に合焦していたり(その逆も然り)。
     
    とはいえ、一応はライブビュー時にはデュアルピクセルCMOS AFが駆動するため、合焦は高速に行われ問題となる事はありません。この辺りは撮影者側の工夫次第でしょうか。
     
    また最大の難点は、レンズ交換が出来ない事でしょうか。消音ケースに入れるとレンズ交換が大変。ケースを開け閉めする際にラッチ部分が「パカっ」と音を立てるので演奏中はケースの開け閉めもできません(なので設定は予めFIXしておく必要ありますが、これは其れ程に問題では無かった)。
     
    演奏の撮影中にレンズ交換が出来ないので撮影画角が限られてきます。もう一台、一眼レフカメラを用意すれば良いのでしょうが、そうなると消音ケースも更に必要となる等、ワンオペでこなす範囲を超えてしまい無理があります。
     
    静かな音楽発表会で、限られた範囲での撮影という条件下では十分な性能を発揮してくれた消音ケースですが、自由度の高い撮影をしたい場合には、やはり完全無音撮影ができるミラーレス一眼カメラが必要になってくるのは改めて感じました。
     
    しかしながら、そこまで必要性を感じていないなら、いま手元にある一眼レフカメラに消音ケースという組み合わせは、中々に効果の高い試みだと私は考えます。DIY好きな方にはオススメです。
     
    ・・・実際、作ってて楽しかったですものw〔了〕


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