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パナソニック製の高級コンデジ「LUMIX DMC-LX9」を購入しました。
コンパクトデジカメ(=コンデジ)としては比較的大きめとなる、1型センサー(1インチセンサー)を搭載しているのが最大の特徴です。
2016年11月に発売されたこのLUMIX DMC-LX9、私が購入したのは2020年2月と、実に発売から3年3ヶ月も経過した”古い”モデルと言えます。しかし店頭販売価格は、ずーっと平均8万円前後。むしろ直近3ヶ月ほどは12%程値上がりする始末。実際、私の購入時(2020年2月時点)で、ヨドバシカメラ店頭価格86,030円(10%税込,10%ポイント還元)という状況でした。
何故か海外ではLX15(英国など)もしくはLX10(米国など)と名称が異なる、このLUMIX DMC-LX9(日本)。名前は違えど仕様は全て同じという謎ラインナップ名。
発売から時間が経過していることもあり、ネット上には多くのレビュー記事が上がっているので、少し視点を変えてご紹介します。
4K動画機としての選択
私がLUMIX DMC-LX9を選んだ最大の理由は「4K動画が撮れる」こと。パナソニックのラインナップでは4Kなんて、ごく当たり前ですが、キヤノンのコンデジでは2018年夏のPowerShot SX740HSが最初(ただしセンサーサイズは小型な1/2.3型)。1型センサー以上を搭載したモデルでは、2019年夏のPowerShot G7X Mark IIIになって、ようやく4K動画に対応した状況ですからね。
すでに4K動画撮影機としては、パナソニックの4KビデオカメラHC-WX1Mがありますが、これに加えて娘の音楽発表会などの撮影時には、別アングルからも捉えたカメラも設置したくなり、4Kビデオカメラの追加購入を検討した訳です。
当然、複数台のカメラを運用するとなると、色合いの問題などから本来は同一機を追加購入するのが理想なのですが、普段スチル撮影がメインの私にとってビデオカメラは年に数回しか持ち出す機会が無いこともあって、もう1台、同じHC-WX1Mを買うのは流石に躊躇われました。
・・・ならば、4Kに対応したデジカメにしよう!色合いは同一メーカーなパナソニックなら比較的近いだろう!と(根拠レスに)考えて、パナソニックから4K動画対応な、コンパクトだけれどもセンサーサイズがそこそこ大きくて写りの良いものを探している中で、このLUMIX DMC-LX9に行き着きました。
ポケットから出し入れしやすいコンパクト
コンデジ選びにあたり、重視したのはポケットからサッと取り出して撮影できること。LUMIX DMC-LX9は小さなボディ故にジャケットやズボンのポケットに入れて気軽に持ち歩けます(若干、厚みがあるのでポケットが膨らむのと、重さも相応にあるので、ちょっとポケットが引っ張られる感もありますが、いずれもギリギリ許容範囲)。
元来、ファインダー原理主義な私としては、これまでコンデジではPowerShot G11やPowerShot G1Xという(実用レベル最低限の水準さえ満たせないオマケ以下の)ファインダーを搭載したカメラを愛用してきましたが、昨今の高性能なEVF(電子ビューファインダー)搭載機は、どうしてもファインダー部分が出っ張っていたりします。
また、1型以上のセンサーを搭載したコンデジでは相応にレンズ部分の出っ張りがあるのですが、その裏側にもEVFの出っ張りがあると結局厚みは増えるし、ポケットから出すときに引っ掛かりを感じることがあるので、EVF搭載機は見送ることとしました
(勿論、ソニーRX100のようにEVFを本体から引き出して使うタイプもありますが、さすがに面倒なので結局背面液晶しか使わないような気もして。他にも、ソニー製品はもう買わない、と誓った後でしたし(苦笑))
レンズの歪曲収差が(比較的)少ない
歪曲収差が比較的少ないのもLX9の良い点。搭載するのはライカ DC VARIO-SUMMILUXレンズです(※ライカ社が作っている、というのでは無く、ライカ社の認定する測定機器と品質保証システムに準拠した設計・製造を行なっている、と説明されています)。
ライカ社のレンズ名の意味を紐解くと、「VARIO」は「ズームレンズ」、「SUMMILUX」は明るさ「f1.4」という意味になります。「DC」は何だろう?(Digital Cameraかな?)。
とまれ、レンズの歪曲収差が少ないことが特徴のようで、IMAGING RESOURCEの検証によると、広角端24mm相当で約0.3%、望遠端72mm相当で約0.1%の歪みと好成績です(因みに同時期にリリースのキヤノン PowerShot G7X Mark IIは広角端24mm相当で約0.3%、望遠端100mm相当で約0.1%の歪み。要はライバル他社同様に素晴らしいレンズ性能です)。
適度に”ボケない”
LUMIX DMC-LX9最大の「売り文句」は「開放f1.4の明るいレンズ」な訳ですが、実はf1.4が有効なのは広角端24mm時だけで、焦点距離を伸ばすとスグにf値が上がってしまいます。
焦点距離 | 開放値 |
---|---|
24mm | f1.4 |
25mm | f1.5 |
26mm 〜 27mm | f2.0 |
28mm 〜 31mm | f2.5 |
32mm 〜 72mm | f2.8 |
上記のように32mm〜ズーム上限の72mm迄はf2.8が下限となる訳ですが、f2.8だからといって大三元レンズのようなボケ量になる訳ではありません。
それは、センサーサイズの大きさ故に、1型センサーのf1.4は、APS-Cのf2.8相当、フルサイズのf4.0相当に換算されるためです。
LX9の 絞り値 | APS-C 換算 | フルサイズ 換算 |
---|---|---|
f1.4 | f2.8 相当 | f4.0 相当 |
f1.5 | f3.2 相当 | f4.5 相当 |
f2.0 | f4.0 相当 | f5.6 相当 |
f2.5 | f5.0 相当 | f7.1 相当 |
f2.8 | f5.6 相当 | f8.0 相当 |
つまり、1型センサーのLUMIX DMC-LX9にて絞りf2.8で撮った写真は、APS-Cカメラのf5.6相当のボケ量でしかないし、フルサイズで換算するならf8.0相当のボケ量でしか無い、という事。
・・・要はボケ量はセンサーサイズに比例するので、数値だけを見てボケ量が大きい、と勘違いしてはイケナイという意味です。
しかしf1.4というのは伊達では無く、明るいレンズ故に暗所での撮影には存分に威力を発揮してくれますし、ボケ量もf2.8で撮ったとしてもAPS-Cカメラでf5.6相当のボケ量ということは、無闇にボケボケした写真ではなく、背景もそれなりに写る良い塩梅と私は考えます。
とりわけ旅行に持っていくカメラとしては、背景がボケボケになるよりも、ある程度、旅先の様子がわかる適度なボケ量=私が普段使う一眼レフのAPS-Cカメラで言うところのf5.6相当、という事でこの点も私には使い勝手の良いカメラです。
注意点:動画撮影時の焦点距離
動画撮影時には焦点距離が変わる点に注意が必要です。FullHD動画撮影時、4K動画撮影時それぞれ焦点距離が以下のように変更となります。
4K動画 焦点距離 | FullHD動画 焦点距離 |
---|---|
36mm 相当 | 30mm 相当 |
42mm 相当 | 35mm 相当 |
53mm 相当 | 44mm 相当 |
75mm 相当 | 62mm 相当 |
105mm 相当 | 87mm 相当 |
108mm 相当 | 90mm 相当 |
動画撮影において、静止画と同じ広角域はできないので(上記のようにクロップされてしまうので)注意が必要です。
これは使っていく内に感覚として覚えていくしか無いですね。
LUMIX DMC-LX9は、日常使いには、いつも携行できる手軽なコンデジとして、イベント時には4K動画撮影機として、今後フル活用できそうで楽しみです。〔了〕